沖縄県石垣市の石垣島で計画中のリゾートゴルフ場開発は、生態系を破壊する行為で、開発区域にある市有地を事業者に無償貸与するのも違法だとして、市民らが19日までに、貸与差し止めなどを求めた住民訴訟を那覇地裁に起こした。原告には、開発区域を営巣地とする国の特別天然記念物、カンムリワシも加わった。
自然や生物などの権利が侵害された際、人間の原告が生物に代わり訴える「自然の権利訴訟」の一環。平成7年、鹿児島県奄美大島のゴルフ場開発を巡り、アマミノクロウサギなどを原告にした訴訟を皮切りに、山口県や長崎県でも同種の訴えが起こされた。
訴状などによると、ユニマットグループ関連会社が約127・4ヘクタールに、ゴルフ場や宿泊施設などの建設を予定。市有地が含まれ、一部は無償提供される予定だが、適正な対価なく自治体の財産を処分することを禁じた地方自治法に違反するほか、開発がカンムリワシに打撃を与え、文化財保護法などにも違反するとしている。