上川陽子外相は18日、米ニューヨークを訪問し、先進7カ国(G7)外相会合や個別会談に臨むなど本格的な外交デビューを果たした。22日までの外遊日程で「2桁台」(外務省関係者)の国々との会談などに臨むことになっている。
「G7各国の外相からは大変温かく受け入れていただいた。互いにファーストネームで呼び合うなど、個人的な関係を築くこともできた」。上川氏は18日、記者団の取材に応じ、初顔合わせとなったG7外相会合について、こう語った。
13日に外相に就任したばかりの上川氏は、今回の外遊をカウンターパートとの信頼関係を構築する機会と位置付け、18日はブリンケン米国務長官やクレバリー英外相と相次いで会談。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を検証・評価する国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長との会談にも臨んだ。
上川氏はグローバルサウス(GS)と呼ばれる新興国・途上国に影響力を持つ国の外相らとの関係づくりにも意識を向ける。
ブラジルのビエイラ外相との会談では、同国が議長国を務める来年の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に向けた協力を確認した。ブラジルは日本、ドイツ、インドとともに国連安全保障理事会常任理事国入りを目指すグループ(G4)の一員でもある。上川氏は滞在中、G4外相会合にも出席し、国連改革へ連携強化を図りたい考えだ。
外務省関係者は「なかなか訪問できない国でも、国連総会に行けば会える外相もいる」として、今回の外遊の意義を強調する。
ただ、上川氏が18日に発表したG7外相の議長声明で「直接懸念を表明することの重要性」を強調した中国を巡っては、外交トップの王毅共産党政治局員兼外相が国連総会一般討論に欠席する見通しが伝えられている。今後、中国とどう向き合うか。上川氏の外交手腕が試されることになりそうだ。(岡田美月)