韓国の魚食文化に「春チュクミに秋チョノ」という言葉がある。前者はイイダコで後者はコノシロ。その旬(食べ頃)を言ったものだが、いずれも昔はローカル食だったのが今や全国区になってソウルでも人気だ。ただ、もっぱら赤辛く炒めて食うイイダコは冷凍モノが増え、季節に関係なく食っている。
それに比べるとコノシロは傷みやすく、刺し身と焼きがメインなので秋しか出回らない。そのコノシロがソウルの魚料理屋に出始めた。店先の水槽でキラキラと泳いでいるコノシロの群れは秋の風物詩である。
生きたコノシロの姿につられ店に入ったが、夕方の早い時間なのに満席。何とか相席に座り、韓国風の刺し身は小骨が残るので焼き魚を頼んだ。ところが焼き方が直火ではなく、韓国でよくあるフライパンに油で焼いたものだった。うちは直火はやっていないといわれ、しまったと思ったが後の祭り。それでも小骨をはずしながら身をほじくり、秋の訪れを味わった。
というわけで、野党勢力の〝フクシマ放射能恐怖キャンペーン〟にもかかわらず街の魚料理屋はにぎわっている。結局、今回の反日悪宣伝は水産業者もお店も消費者もみんな迷惑なのだ。元凶の野党幹部たちでさえ会食で刺し身を食っていたことがばれてしまい、皮肉られている。(黒田勝弘)