スポーツ用品大手のアシックスは15日、富永満之常務執行役員(61)が令和6年1月1日付で社長に昇格し、広田康人社長(66)が代表権のある会長に就く人事を発表した。富永氏は6年3月の定時株主総会など終了後に代表取締役に就任する。社長交代は平成30年3月以来、約6年ぶり。
神戸商工会議所副会頭で現在、取締役会長を務める尾山基(もとい)氏(72)は6年1月1日付で取締役相談役に、同年3月の定時株主総会で取締役を退任し、財界や業界団体の活動に注力する。広田氏は会長就任後もCEO(最高経営責任者)として全社的なかじ取りを担う。
5年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画が今年12月に終了するのに合わせて経営体制を変更する。同社は近年、ランナーとの接点を増やすため、EC販売やスポーツ分野のアプリ開発会社への出資などに注力。日本IBMやSAPジャパンの役員を歴任し、ITに精通する富永氏が指揮を執ることで、世界市場でデジタル戦略を強める狙いがある。
広田氏は「グローバル感覚に富み、デジタルの世界で育った人」と富永氏を評価。富永氏は「プレッシャーもある」としながらも「先進国でのブランド力を強めると同時に、経済成長する新興国でもフットプリント(足跡)を広げたい」と意気込みを語った。(田村慶子)
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富永満之(とみなが・みつゆき)米カリフォルニア・ポリテクニック州立大卒。日本IBM、SAPジャパンなどを経て平成30年アシックスに入社。執行役員IT統括部長などを経て令和2年に常務執行役員。兵庫県出身。