【北京=三塚聖平】中国国家統計局が15日発表した8月の主要経済統計によると、消費動向を示す小売売上高は前年同月比4・6%増だった。4カ月ぶりに伸び率が拡大した。一方で不動産開発投資は悪化が続いており、中国経済回復の足かせとなっている。
小売売上高の伸び率は7月の2・5%増から拡大した。内訳では、化粧品が9・7%増、宝飾品が7・2%増とプラスに転じたほか、飲食店収入は12・4%増と2桁増が続いている。今年1月に「ゼロコロナ」政策が正式終了してから初の夏休みシーズンを迎え、レジャーや消費が活発になったとみられる。
生産動向を示す工業生産は4・5%増で、7月の3・7%増から伸び率が拡大した。主要産品の生産量では、自動車が4・5%増とプラスに転じた。
1~8月の不動産開発投資は前年同期比8・8%減でマイナス幅が拡大した。習近平政権の統制強化を機にした不動産不況の長期化で不動産大手が経営悪化に陥っている。不動産は中国の国内総生産(GDP)の3割程度を占めるとされるため中国経済への影響が懸念される。
投資動向を示す固定資産投資は1~8月に3・2%増で、伸び率の縮小傾向が続いている。そのうちインフラ投資は6・4%増だった。インフラ投資の恩恵は国有企業が中心とみられ、民間企業の投資は0・7%減と低迷している。
習政権は、金融緩和の拡大など景気下支えを急いでいる。中国人民銀行(中央銀行)は14日、金融機関から預金の一定割合を強制的に預かる比率を示す「預金準備率」を15日に0・25%引き下げると発表した。