【北京=三塚聖平】中国外務省は4日夜、王毅(おう・き)共産党政治局員兼外相が同日、北京を訪問したイタリアのタヤーニ副首相兼外務・国際協力相と会談したと発表した。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱をイタリアが検討する中、王氏は同構想が「大きな成果」を収めたと訴えた。さらなる投資拡大も持ち出してイタリアの引き留めを図ったとみられる。
ロイター通信によると、タヤーニ氏は訪中前、一帯一路について「期待していたような結果をもたらさなかった」と語っていた。イタリアは2019年に先進7カ国(G7)加盟国で唯一、一帯一路に協力するとの覚書を結んだ。
中国外務省によると、王氏は会談で「一帯一路の共同建設における協力は大きな成果を収めた」と強調。過去5年間で中国とイタリアの貿易額が500億ドル(約7兆3千億円)から800億ドル近くにまで増え、イタリアの対中輸出が約30%増えたと主張した。イタリア側に、経済・貿易投資のさらなる強化などを呼び掛けた。
一帯一路は習近平国家主席が提唱してから今年で10年の節目を迎え、10月には北京に関係国首脳らを集めて一帯一路をテーマにした国際協力フォーラムを開く予定だ。習政権の威信をかけてイタリアを引き留めたいものとみられる。
中国外務省の発表によると、タヤーニ氏は「中国側とともに引き続き経済・貿易、投資を深化させることを期待する」と述べた。タヤーニ氏が一帯一路について言及したかどうかは明らかにしていない。