将棋の藤井聡太七冠(21)=棋聖・竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将=が前人未到の八大タイトル全冠制覇を懸けて永瀬拓矢王座(30)に挑む第71期王座戦五番勝負第1局が31日、神奈川県秦野市で指され、後手の永瀬王座が150手で勝ち、「名誉王座」の永世称号の資格獲得に向け先勝した。8冠独占を目指す藤井七冠は今年度、負けなしの先手番で敗れ、黒星スタートとなった。第2局は9月12日、神戸市中央区で行われる。
藤井七冠の先手で始まった本局は両者得意の角換わりで進んだ。永瀬王座が序盤に工夫を見せたが、藤井七冠がペースをつかみ、リードを保って終盤に突入。永瀬王座も粘り、両者ともに持ち時間を使い切った。その後も指し手が進んだが永瀬王座が抜け出し、勝利を手に入れた。
永瀬王座が防衛すれば王座連続5期となり、史上3人目の名誉王座の資格を得る。藤井七冠がタイトル独占を果たせば、羽生善治九段(52)が全7冠時代の平成8年に達成して以来で、29年に八大タイトル制になってからは初となる。
終局後、永瀬王座は「先勝することができてよかった。(第2局も)しっかり準備して挑みたい」、藤井七冠は「早くも厳しい状態になってしまった。よい状態で対局に臨んで熱戦にできるよう頑張りたい」と、それぞれ話した。