今年1月の大雪の影響でJR東海道線の複数の電車が立ち往生し、多数の乗客が長時間にわたって車内に閉じ込められた問題を踏まえ、JR西日本と京都市は災害時などにおける情報共有や帰宅困難者への対策に関する協定を結んだ。平時から双方の連携を密にするほか、利用者の多い駅にあらかじめ避難場所を確保したり救援物資を配備したりすることを決めた。
1月24日夜の大雪について、気象庁は事前に「10年に1度の低温となる」と繰り返し警戒を呼びかけていた。しかしJR西は計画運休を実施せず、積雪の見込みが基準を下回るとして融雪設備も稼働させなかった。京都駅付近では18カ所でポイントが切り替え不能となり、東海道線で15列車の約7千人が最大約10時間車内に閉じ込められた。
乗客の降車後も対応は後手となり、避難場所が十分に確保できず、山科駅付近の地下道は配られた簡易毛布にくるまり暖を取る乗客であふれた。
この問題についてJR西と京都市は、情報共有に課題があり、救急隊の出動や物資の支給などが遅れたと分析。教訓を踏まえ今回の協定では、情報共有のための窓口を新たに設け、平時から連携を取ることを決めた。また非常時にはJR西の社員を市に派遣し、情報の錯綜(さくそう)を防ぐとした。このほか利用者の多い駅を「特定駅」と定め、避難場所の確保や救援物資の配備を行うことが盛り込まれた。
JR西日本の三津野隆宏近畿統括本部長は「非常時での自治体との連携は不可欠。危機対応を向上させていきたい」と述べた。京都市の門川大作市長は「今回の事案から得た教訓を生かし、互いにできる限りのことを最大限に行っていく」と話した。(鈴木文也)