将棋の藤井聡太七冠(21)が前人未到の全8冠獲得に挑戦する第71期王座戦五番勝負が31日、開幕する。第1局の舞台は神奈川県秦野市の老舗旅館「元湯 陣屋」。過去に囲碁も含め300局を超えるタイトル戦が行われている。名勝負を支えてきた名物の「陣屋カレー」が有名で、藤井七冠が〝勝負メシ〟として選ぶかどうかも注目だ。
雄大な丹沢山地に抱かれた鶴巻温泉にある「元湯 陣屋」。王座戦開幕が2日後と迫った29日は休館日で、最高気温33度と猛暑の中、第1局の準備に追われた。
1918(大正7)年創業で約105年の歴史を持つ「陣屋」は、自然豊かな約1万坪の庭園も魅力。東京近郊とは思えない静かな環境の中、数々のタイトル戦が行われてきており、「将棋界の聖地」とも呼ばれる。
2011年には第52期王位戦第7局の舞台となり、羽生善治二冠(当時)が王位奪取。タイトル獲得数が通算80期となり、大山康晴十五世名人と並び歴代最多となるなど名勝負が繰り広げられてきた。昨年の第70期王座戦第4局では永瀬拓矢王座(30)が豊島将之九段(33)を破り4連覇。その際、永瀬王座が昼、夕食ともに「陣屋カレー」を注文して話題となった。