犬の特発性てんかんに高用量のDHA 発作が半分以下に 東大

高用量のドコサヘキサエン酸(DHA)が犬の特発性てんかんを抑止するとした論文を、東京大学大学院農学生命科学研究科の米澤智洋准教授の研究チームが発表した。抗てんかん薬による治療と並行してDHAを投与したところ、2~3カ月で発作の頻度が半分以下になったという。

(Getty Images)※画像はイメージです
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特発性てんかんとは、検査しても異常がみつからない原因不明のてんかんを指す。飼い犬の発症率は1~2%で、抗てんかん薬を与えても発作が起きてしまうことがある。

研究チームは発作の頻度を抑える手法として、オメガ3脂肪酸に分類される不飽和脂肪酸の一つであり、魚に多く含まれているDHAの投与に着目。これまでにも犬の特発性てんかんに対してオメガ3脂肪酸を与える先行研究はあったが、その効果ははっきりしなかったという。

先行研究で明確な効果が確認できなかったことについて研究チームは、「DHA成分が少なかったこと、投与量が少なかったこと、観察期間が短かったこと」が原因ではないかと考えて、高純度のDHAを以前より多く与えて、6カ月間観察する実験を計画した。

実験に協力した犬はチワワ、シェットランドシープドッグ、ポメラニアン、サルーキがそれぞれ1匹、トイプードルが2匹で合計6匹。年齢は2~9歳で、いずれも特発性てんかんの発作(けいれんなど)が1カ月あたり2回以上認められた。飼い主らは6カ月間、特発性てんかんの薬を継続的に投与しながら、1キログラムあたり50~100ミリグラムのDHAを含む高純度のDHAカプセルを与えた。

期間中に治療方針が変わったなどの事情でポメラニアンとサルーキは実験から除外されたが、残る4匹は投与開始から2~3カ月で発作の頻度が50%以上減少した。このうち3匹は5~6カ月後、発作の頻度が1カ月あたり0~1回に減少した。また、どの症例においても血液検査結果などに明らかな有害事象は観察されなかった。研究チームによるとDHAが犬の特発性てんかんを抑止するメカニズムは分かっていないという。

結果を受けて研究チームは、高用量のDHA投与が人間のてんかんに対しても役立つ可能性があると期待感を示した。その一方で、今回は研究には実施例数が少ないなどの課題もあるため、引き続き成果を蓄積したいと述べた。


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