ビール大手4社の令和5年6月中間連結決算が10日、出そろった。最終損益ではサントリーホールディングス(HD)とアサヒグループHDが増益を確保した一方、海外子会社に関わる損失などの影響で、キリンHDは減益、サッポロHDは赤字となり、明暗を分けた。ビールが減税される10月の酒税法改正の効果などを織り込み、12月期通期の業績見通しは全社が増収増益を予想する。
本業のもうけを示す事業利益では、原材料や燃料価格高騰によるコスト増の影響を受けたものの、各社とも高価格帯の商品の投入や商品値上げにより、増加分をある程度吸収した。「値上げによる大きな買い控えはなかった」(アサヒグループHDの崎田薫最高財務責任者)という。
最終損益ベースでは、キリンHDはミャンマー事業の譲渡に伴う売却損が、サッポロHDはクラフトビールを手掛ける米国子会社の解散に伴う減損損失がそれぞれ響いた。
一方、連結業績予想では、アサヒグループHDが国内酒類販売の好調が続くとみて、事業利益と営業利益、最終利益をそれぞれ上方修正。同日には中国政府が日本への団体旅行を解禁したことも「ポジティブに働く」(サッポロビールの武内亮人常務執行役員)とみており、各社とも下期の業績改善に期待を寄せる。
また、4社が同日発表した7月のビール類販売実績は、前年同月比でほぼ横ばい。外食向けなどの業務用が約2割増えた一方、市場の大きい家庭用の缶が3%減少し、全体を押し下げた。