新型コロナウイルス患者の後遺症について、特に高齢者で鬱や心身機能の低下(廃用症候群)が長期化しやすいとの分析結果を、医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市)などの研究グループがまとめた。
これまでの後遺症研究は最大千人規模だったが、グループは今回、令和2年1月~4年6月に新型コロナと診断され、徳洲会グループの病院に入院するなどした0~85歳の約12万人の電子カルテを調査した。
従来株やアルファ株が流行した第1期(2年1月~3年6月)▽デルタ株が流行した第2期(3年7~12月)▽オミクロン株が流行した第3期(4年1~6月)-で比較すると、2期と3期で倦怠(けんたい)感や嗅覚障害などの発症率が大幅に減少。2期と3期ではワクチン接種率が高まっており、グループは株の違いや接種率が後遺症に影響した可能性があるとみている。
さらに60歳以上の要介護度では、コロナ発症前後でほぼ寝たきりの「要介護4、5」の割合が35・6%から40・8%に5ポイント余り増加。鬱や廃用症候群も60歳以上で発症しやすく、コロナにかかって2週間経過した後も症状が長引いた。グループは「高齢者ではQOL(生活の質)の低下につながる後遺症のリスクが高い。ワクチン接種や、感染した場合の慎重なフォローが必要だ」としている。