2031(令和13)年春に開業する新線「なにわ筋線」で、南海電気鉄道が、同線の始発駅であるJR大阪駅から新大阪駅まで列車を乗り入れるにあたり、阪急電鉄が2駅間で開業する「連絡線」の利用を検討していることが11日、分かった。これまで表明していたJR西日本の路線とあわせ計2ルートを活用する。阪急の連絡線は、神戸線や宝塚線などが停車する十三(じゅうそう)駅を経由。南海電鉄の列車で関西国際空港から移動する客が、兵庫県などにスムーズに移動できることになる。
南海電鉄の岡嶋信行社長が産経新聞のインタビューで明かした。岡嶋氏は、大阪―新大阪のルートは「現時点ではJR西の路線を使う」としつつ、阪急が連絡線の開業を計画していることに触れ、同線の活用により「行き先の選択肢が広がる」と指摘。「レールがつながるなら、いろいろな方向に行ける。それは、鉄道が磨くべき強みだ」と語り、多様なルートの活用に意欲を示した。
そのうえで、十三で乗り換えれば兵庫方面などにも移動できる阪急連絡線の活用の可能性についても「今後、3社(南海、JR西、阪急)で調整をしていく」と述べた。
また、大阪市浪速区に開業するなにわ筋線の新駅「南海新難波」にも言及し、駅が地下約40メートルの深さに設置され、大阪メトロなどの路線より深い位置になると語った。そのうえで、各社の路線からの乗り換えにおける利便性は「しっかり確保する」と強調した。
駅が新設される難波エリアについては「大阪・ミナミの代表となる地域。その格をさらに向上させる開発を行う」と意気込んだ。駅の上の地上周辺では再開発に向けた話し合いを地権者と進めており、「オフィスやホテル、住宅などが開発の候補になる」とも語った。
また、関空―難波間を走行する特急「ラピート」の現在の規格では、安全上、地下路線となるなにわ筋線を走れないことから、後継列車を開発すると改めて表明。「ラピートは南海のイメージリーダー」として、新列車にラピートのイメージを活用することに意欲を見せた。(黒川信雄)