ブランド農作物の盗難防げ 山梨、新型センサーや警察犬投入

新型の果実盗難防止センサー(写真上)=山梨県南アルプス市▷警察犬とトウモロコシ畑を巡回(同左下)=同県市川三郷町(いずれも平尾孝撮影)▷サクランボがごっそり盗まれた樹=令和3年6月、山形県東根市(柏崎幸三撮影)
新型の果実盗難防止センサー(写真上)=山梨県南アルプス市▷警察犬とトウモロコシ畑を巡回(同左下)=同県市川三郷町(いずれも平尾孝撮影)▷サクランボがごっそり盗まれた樹=令和3年6月、山形県東根市(柏崎幸三撮影)

サクランボやトウモロコシなどブランド農作物の本格的な収穫期を前に、山梨県内で盗難被害の防止活動が本格化している。県内の農作物盗難は昨年、43件に上り被害総額は881万円。最新の監視装置の導入や防犯パトロール、ドローンによる夜間巡回など、懸命の防犯活動が続いている。

グレードアップ

「これまでのセンサーは侵入者に反応できない場所があった。畑全体をカバーできるのはありがたい」

JA南アルプス市が今年から新たに導入する果実盗難防止センサー。デモ体験したサクランボ農家の男性は、大幅な改善に驚いた。

新型センサーは親機と子機を組み合わせ、感知範囲を調整できる仕組み。果樹畑全体をカバーすると同時に、従来機ではしばしば生じていた畑外の道路の自動車を侵入者と誤って感知することもなくなる。さらに侵入感知を関係者へ電子メールなどで知らせる機能も追加し、異変への即時対応が可能だ。

JA南アルプス市は、収穫直前の畑に設置し、収穫が終われば次の農作物の畑に移すことで、順繰りに盗難対策を図っていく。

ドローンも活用

ブランドトウモロコシ「甘々娘(かんかんむすめ)」の収穫と出荷が始まった同県市川三郷町。JA山梨みらい、鰍沢署や県峡南農務事務所、地元の農家らによる畑のパトロールが始まった。トウモロコシの茎が、大人がすっぽりと隠れてしまうほど高く育っている中、警察犬も投入し、不審者侵入の形跡がないかも調べる。

畑の入り口には「特別警戒中」の看板が置かれ、そばには監視カメラ。近くの県道脇には防犯のぼり旗も掲げられ、監視体制をPRしている。

パトロールに参加した河野嘉彦署長は「窃盗犯を捕まえることも重要だが、しっかりとした防犯対策がなされていることを示し、農作物を盗むことを考えさせないようにする防犯が重要だ」と力を込めた。

今後は地域の建設業協会が協力し、サーモグラフィーカメラを搭載したドローンによる夜間巡回も始める予定だ。

意欲にも悪影響

果樹など付加価値の高いブランド農産物は、盗難のリスクがつきまとう。全国最大のサクランボ産地、山形県でも盗難防止策として、県警を中心に青色防犯パトロールによる巡回や、「防犯カメラで録画しています」との看板を設置するなどしてきた。

ところが令和3年度、過去10年で最大となる7件の盗難被害が発生。県農林水産部は先行する山梨県を視察するなどし、翌4年度、「農作物盗難防止対策事業」として防犯カメラやブザーの購入を補助した。補助額の上限は50万円または総購入額の4分の1で、県内の2つのJAから申し込みがあり、防犯カメラを30台余り導入した。

その結果、3年度に7件280キロ、被害額149万円だった被害は4年度に激減、1件5キロ、2万5千円にとどまった。

それでも、山梨県市川三郷町の農家、渡辺千雪さん(71)は「精魂込めて育てた作物が収穫前に盗まれると、言い表せない悲しみに包まれる」と話し、農業者の意欲への悪影響も指摘する。

「高齢農家で心が折れて事業継続をあきらめる人や、ブランド農作物で就農を目指していた若手が農業を敬遠する場合もある」

県峡南農務事務所の峯島昌恵・地域農政課長は「農業への否定的な要素を排除するためにも、関係者の連携により盗難を防ぎたい」と強調する。

(平尾孝)

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