陸上女子100メートル障害の元日本記録保持者の寺田明日香(33)が、激闘の日本選手権から一夜明けた5日、所属先のジャパンクリエイト(本社・大阪)での報告会に出席した。3日に行われた決勝で、12秒95を記録し、2年ぶり5度目の優勝を達成。「皆さんの応援してくださる力が私の背中を押してくださっています。その一押しが私を前に進ませてくれたと思っています」と感謝を述べた。
今季は4月の織田記念国際で初戦を迎え、木南道孝記念で12秒86の自己ベストを記録して優勝。セイコー・ゴールデングランプリも同タイムで制し、12秒台の自己ベストを持つ選手が5人がそろった日本選手権で、大接戦を制して優勝した。
寺田の最大目標は、2024年パリ五輪。その中で、4日に大阪市内で行われた日本陸連の理事会でパリ五輪の選考基準が承認された。8月の世界選手権(ブダペスト)で3位以上の日本人最上位の選手であり、パリ五輪の参加標準記録を期限内に突破すれば代表内定となる。寺田は、世界選手権の参加標準記録(12秒78)を突破しておらず、まだ世界選手権の代表に決まっていないが、「良い雰囲気で良い条件だったら、あっさり出る記録。(期限の)7月30日までにサクッと切れるように準備していきたい」と気負いはない。
日本選手権では、男子110メートル障害で泉谷駿介(23)=住友電工=が13秒04(向かい風0・9メートル)の日本新記録をマーク。今季世界2位で、2021年東京五輪金メダルと同タイムの好記録に、寺田は「メダルに届くくらいの勢い」。普段から話すこともあるが、「感覚的なことが多い。『行くしかないっす』って。『そうよね』っていうんですけど、その中にいろんなことが集約されている。私にはまだ怖さがあるので、自分に足りていない部分だなと。私も、『行くしかないっす』って言えるように頑張りたい」。刺激を受けて、もう一段階上の世界に突入する。
この日は長女の果緒ちゃんも会に出席し、喜びを分かち合った。夕方からはユニバーサル・スタジオ・ジャパンに家族で行くそうで、リフレッシュして、再び歩みを進める。