後継者難に悩む中小・零細企業の事業承継を支援するため、中小企業庁が全国に配置した「事業承継・引継ぎ支援センター」の令和4年度の相談者数と第三者への事業譲渡(M&A)成約実績が、いずれも過去最高を記録した。中小企業基盤整備機構が5月30日に発表した。
発表によると、昨年度の全国のセンターへの相談者数は前年度比7%増の2万2361件。M&Aの成約件数は同11%増の1681件で、センターの前身組織を設置した平成23年以降、いずれも過去最高となった。
近年、経営者の高齢化や人手不足による中小企業の後継者難は社会問題化している。センターは全国48カ所に置かれ、専門家が企業の売り手と買い手を仲介し、事業承継につなげる役目を担っている。
ただ、センターの存在を知らなかったり、承継についての意識が乏しかったりする経営者もいることから、センターは昨年度、地元に広い人脈を持ち、事業承継にノウハウのある金融機関出身者などをエリアコーディネーターとして各地に配置。こうした対応もあって企業の事業承継に対する意識は高まったとみられ、中小機構は「今後も事業承継の促進に注力する」としている。