新潟県湯沢町が隣接する十日町市を相手取り、町と市の境界線の画定などを求めた訴訟で、新潟地裁(島村典男裁判長)は5日、町側と市側の主張をそれぞれ一部認める判決を言い渡した。県内初の自治体間での境界線訴訟。約30年にわたってもめてきた境界問題に司法判断が下された。
訴訟対象になったのは、町の北西にある6・5キロの境界。今も境界線が定まっていない5キロの画定と、すでに境界線が引かれている1・5キロを町の面積が広がる形で西側に修正するよう町側が求めていた。
判決では、未画定部分について、江戸時代の支配・管理状況から、市側が主張する境界線が妥当とした。
一方、修正部分については町側の主張を認めた。このエリア内には「ガーラ湯沢スキー場」のリフト施設の一部がある。現状は十日町市内だが、境界線が修正されると、湯沢町内の施設となり、固定資産税の納付先にも影響してくる。
湯沢町の田村正幸町長は本紙の電話取材に「町の主張が一部認められなかったのは残念。弁護士とも話し合い、控訴も含め検討したい」。一方、十日町市の関口芳史市長は「今後どのような対応をしていくかは、判決の内容を精査して決定したい」とのコメントを出した。
湯沢町と十日町市の境界線をめぐっては、平成2年に正式協議が始まったがまとまらず、令和元年に同町が県に調停を求めた。県が調停に適さないと通知してきたため、同町は2年に提訴した。