経済産業省などは26日、航空業界の脱炭素化に向けた切り札とされる持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進を目指す官民協議会で、中間取りまとめ案を示した。令和12年に国内空港で航空機に給油する燃料の1割をSAFとするよう、石油元売りに義務付けることなどが柱。5年度中にエネルギー供給構造高度化法の告示を改正する方針。
廃食油などを原料とし、二酸化炭素の排出量を大幅に減らせるSAFを巡っては、国内使用量のほとんどを海外産に依存。世界での供給量も極めて少量で、海外勢との争奪戦となっている。12年に国内航空会社による燃料使用量の1割をSAFに置き換えるという政府の目標達成に向け、国産商用化をはじめサプライチェーンの構築が急務となっている。
官民協議会は石油元売りや航空会社なども参加。中間取りまとめ案では、12年に日本の空港で国内外の航空会社が給油する航空燃料の1割(試算で171万キロリットル相当)をSAFとするよう石油元売りに義務付け、罰則も定める。国内航空会社が国に申請する脱炭素化推進計画にも、12年のSAFの利用目標量を全体の1割に設定するよう求める。
一方、大量供給が可能となるSAFの国産商用化に向けては原料確保が課題となっているが、海外での原料開発や国内への輸送を支援するほか、将来的には出資や債務保証も検討。また海外で生産したSAFや原料の輸入にかかる税の減免なども検討するという。
欧州ではSAFの使用を義務化する動きもあり、今後も空港での給油分を確保できない場合、将来的に他国から日本行きの便を減らされる恐れもある。
経産省の担当者は「日本はしっかりSAFをやるという意思を見せて投資環境をつくる」と話している。