「子供の頃から大きな憧れ」 「名探偵コナン」脚本家、三上幸四郎さんに江戸川乱歩賞

産経ニュース
第69回江戸川乱歩賞に決まった三上幸四郎さん(左)と選考委員を務めた日本推理作家協会代表理事の貫井徳郎氏
第69回江戸川乱歩賞に決まった三上幸四郎さん(左)と選考委員を務めた日本推理作家協会代表理事の貫井徳郎氏

第69回江戸川乱歩賞(日本推理作家協会主催、講談社・フジテレビ後援)は26日、三上幸四郎氏(56)の「蒼天の鳥たち」に決まった。賞金は500万円。390編の応募があり、日本推理作家協会代表理事の貫井徳郎氏や前任の京極夏彦氏ら5人が選考した。受賞作は8月下旬に講談社から刊行予定。

同日、東京都内で受賞会見に臨んだ三上氏は「江戸川乱歩賞は子供の頃から大きな憧れ。いつかは応募したいと思っているうち、この年齢になった。2回目で選んでいただき、大変うれしい」と喜びを語った。

三上氏は鳥取県出身。慶応大学文学部卒業後、システムエンジニアとして企業に勤務するかたわら、シナリオ学校で学んだ。コンクールに応募した作品が賞を獲得し脚本家の道が開けたため、3年で退社し専業になった。これまで30年間で「名探偵コナン」や「特命係長 只野仁」「特捜9」などテレビアニメ・ドラマの脚本、ラジオドラマの脚色を担当してきた。

受賞作は大正13年の鳥取市が舞台。女性の地位向上を目指す田中古代子は、東京で本格的に作家活動をする準備をしていた。移住前、鳥取市内の劇場で活動写真(映画)「凶賊ジゴマ」を見ていると火事が発生。作品中のジゴマが劇場の舞台に現れ、男性を刺殺し逃亡する物語。実在した作家をモデルにした歴史活劇ミステリーだ。昼のうちに〝本業〟である脚本に取り組み、応募作は夜に書き上げる二刀流を数カ月続けたという。

最終候補に残ったのは4作。貫井氏は「脚本家の方が書くクセのようなものを不安視したが、ちゃんと小説の文章になっていた。(選考委員は)大正期の地方都市に詳しくないが、風景がありありとわかる筆致だった」と評価した。

子供のころは乱歩の「少年探偵団」シリーズなどに熱中したという三上氏は、乱歩賞受賞作も岡島二人(焦茶色のパステル=昭和57年)、高橋克彦(写楽殺人事件=58年)、東野圭吾(放課後=60年)などを愛読。

「『破線のマリス』で受賞された野沢尚さん(平成9年)は著名な脚本家。その人が乱歩賞も取るのかと当時は驚いた。あまりにも大きな存在。残りの人生は少ないが、(脚本家出身として)近づくための努力をしていきたい」

これまでの江戸川乱歩賞受賞者には西村京太郎(昭和40年)、森村誠一(44年)、井沢元彦(55年)、桐野夏生(平成5年)、藤原伊織(7年)、池井戸潤(10年)らが名を連ねている。

江戸川乱歩賞に三上幸四郎さん 「名探偵コナン」「特命係長 只野仁」脚本も

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