インドが日本などからのIT関連機器への関税を引き上げた措置を巡り、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)がWTO協定違反と判断したことを不服とし、インドは25日までに最終審に相当するWTO上級委員会に上訴した。
だが上級委は改革を求める米国などが委員の補充に反対し、裁判官に相当する委員が不在で、機能停止に陥っている。対策として日本など有志国が参加する多数国間暫定上訴仲裁アレンジメント(MPIA)があるが、インドは加わっておらず、今回の紛争は当面棚上げとなり、決着は見通せない状況となった。
インドのモディ政権は自国製造業を優遇するため、スマホや携帯電話用基地局設備などへの関税を最大で20%に引き上げた。このため2019年に欧州連合(EU)、日本、台湾がWTOに提訴し、一審に当たるパネルが今年4月、インドの関税は不当と結論付ける報告を出していた。(共同)