動画配信サービス「ニコニコ動画」を運営するドワンゴ(東京)が動画再生中のコメント表示機能を巡り特許権を侵害されたとして「FC2動画」を運営する米法人などに日本での配信差し止めと損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、知財高裁であった。大鷹一郎裁判長は請求を棄却した1審判決を変更し、FC2の特許侵害を認めて配信差し止めと約1100万円の支払いを命じた。
特許権には自国内でのみ効力が認められるという「属地主義の原則」がある。海外にサーバーを置く動画配信サイトに日本で登録された特許の侵害を問えるかが争点だった。
ドワンゴは、動画再生中の画面上にユーザーのコメントを水平方向に移動させながら重ならないよう表示する「コメント配信システム」に関する特許を侵害されたと主張していた。
大鷹裁判長は判決で、サーバーが海外にあるケースでも、システムの具体的な中身や国内での役割▽効果が得られる場所▽特許権者への経済的な影響-などを総合的に考慮し、一連の行為が国内で行われたと判断できれば「特許侵害に当たる」との基準を示した。
その上で、FC2のシステムは「海外サーバーから送信された情報を国内ユーザーの端末が受信することで完成する」と指摘。システムは国内で利用でき、コメントを介したコミュニケーションという効果も国内で得られることから、ドワンゴの特許を侵害していると結論づけた。
昨年3月の1審東京地裁判決は、FC2のサーバーが海外にあることを理由にドワンゴの訴えを退けていた。
控訴審は、裁判官5人による大合議で審理された。知財高裁は外部から意見を募る「第三者意見募集」を初めて実施した。
ドワンゴは「わが国の特許権を適切に保護すべきだとした画期的な判決」とコメントした。