(セ・リーグ、ヤクルト4ー7阪神=延長十回、12回戦、阪神7勝4敗1分、25日、神宮)ちょこんとバットに合わせた白球は、ぐんぐん伸びて外野芝生で弾む。佐藤輝がとどめを刺した。劇的勝利の立役者として2夜連続で任されたヒーローインタビュー。球界の打点王はちょっぴり驚きつつも、勝利の余韻に浸った。
「(ヒーローインタビューは)大山さんかと思ったんですけど…はい。チームの流れが打たせてくれていると思うのでよかったです」
延長十回2死満塁で、大山が押し出し四球を選び、1点を勝ち越して迎えた第5打席だった。カウント2-2から木沢の143キロスプリットを軽打。それでも自慢のパワーで白球をかっ飛ばした。左中間に運ぶ走者一掃の3点二塁打。最終盤の九回に決勝の2点打を放った24日と同じように、二塁ベース上で右手をグッと突き上げ喜びを爆発させた。
これで3試合連続打点と神宮で荒稼ぎし、打点王に再浮上。12球団最速の30打点に乗せた大砲は「まだまだシーズンは長いので。これからも頑張ります」とうなずいた。
そして、トップに躍り出たモノはもう一つ。球宴の中間発表だ。これまではDeNA・宮崎に次ぐ2位だったが、ついにセ・リーグ三塁手部門で1位の4万9534票を集めた。「よかったです」。ヤクルト・村上、巨人・岡本和ら強力なライバルがひしめく群雄割拠のホットコーナー。首位に立たせてくれた虎党へ、バットで感謝を示した。
何より、佐藤輝のとどめ打で4点差をつけ、5試合連続登板に向け準備を進めていた守護神・岩崎を温存できた。岡田監督は「1点差やったら(岩崎を)使わなあかん。まあ、最後は4点(差)なったからな。使わんで、1日休めたから」と振り返る。チームの今後につながる価値ある一打だった。
延長十回の守備では2死から塩見の打球を好捕し、素早く一塁に送球してゲームセット。佐藤輝は2日続けてヒーローインタビューで「最高です!」とほえた。そして、絶好調で突き進む虎を代表し、誓った。
「ほんとにいい流れできていると思います。明日も、勝ちます!」
この勢いは止まらない。佐藤輝が率いる最強の猛虎打線が、巨人を迎え撃つ26日からの甲子園でも連勝街道を爆走する。(原田遼太郎)