トルコの弁護士「かつてない圧力」と大統領批判

産経ニュース
取材に応じるエレン・ケスキン弁護士=24日、アンカラ市内(佐藤貴生撮影)
取材に応じるエレン・ケスキン弁護士=24日、アンカラ市内(佐藤貴生撮影)

トルコで28日に行われる大統領選の決選投票を前に、少数民族クルド人の人権擁護活動家、エレン・ケスキン弁護士(64)が首都アンカラで産経新聞の取材に応じた。ケスキン氏は、現職のエルドアン大統領(69)の統治手法について「ここ数年で全体主義的な色彩が強まった。これほど国民への圧力が強まったことは過去になかった」などと述べ、現政権の強権体質を批判した。

ケスキン氏は「トルコでは常に言論の自由が問題となってきた」とした上で、エルドアン政権下では交流サイト(SNS)に政府批判などを投稿しただけで逮捕されると指摘した。

エルドアン政権は女性公務員に頭髪を覆うスカーフの着用を解禁するなど、イスラム教の価値観を重視する政策を進める一方、クルド人政党や現政権に批判的なメディアを弾圧した。

ケスキン氏は、現政権の政治手法を「イスラム色の濃い全体主義」と評した上で、選挙でエルドアン陣営と協力関係にある政治勢力は、宗教上の価値観となじまない面もある性的少数者や女性の人権拡大に反対していると懸念を示した。

14日に行われた大統領選の第1回投票で、エルドアン氏の得票率は49・5%と当選の条件である過半数に届かなかった。ケスキン氏は「エルドアン氏の続投には(国民の)半数が反対している」とし、「彼が決選投票で勝利したら(支持率浮揚のために)強権的な統治を緩め、国内外で融和的な政策を取る可能性もある」と分析した。

ケスキン氏は「テロ組織の宣伝を行った」「大統領を侮辱した」などとして複数の罪に問われ、合計26年超の禁錮刑とする判決が下り、現在は上級審に控訴している。出国は禁じられており、「投獄されることを懸念している」としながらも、「(人権擁護の)仕事は獄中でも続ける」と話した。(アンカラ 佐藤貴生)

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