自民党と公明党の亀裂が深まっている。衆院小選挙区「10増10減」をめぐる候補者調整の対立から、公明党が「東京の自民党候補の推薦拒否」という強硬策を打ち出したのだ。公明党は衆院の1選挙区あたり約2万票を持つとされる。この上積みが無くなれば、現在の東京25選挙区では自民党現職6人が落選危機になる。全国に広がると、60人が崖っぷちに立たされる。岸田文雄首相の「解散戦略」にも影響を与えそうだ。
「強固な自民・公明両党の連立基盤に立って、先送りできない重要な課題に一つ一つ対応していきたい」「自民党の幹事長と選対委員長に対し、丁寧に対応するように指示している」
岸田首相は25日、自公の関係悪化について、こう語った。広島でのG7(先進7カ国)首脳会議の成功を追い風に、来月の国会会期末での「解散説」もささやかれていたが、状況は変わった。
普段は穏やかな公明党の石井啓一幹事長が25日、「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」と強い口調で言い切った背景には、自民党への積み重なった不満がある。
公明党側の説明によると、自民党側の要請を受けて、先月の「衆院千葉5区補選」で候補者擁立を諦めた代わりに、新設される「衆院東京28区」への候補者擁立を求めていた。だが、自民党の茂木敏充幹事長から23日、譲れないとの回答があったという。