【ワシントン=坂本一之】米中西部ミシガン州デトロイトで25日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易相会合が開幕した。議長国である米国のタイ通商代表部(USTR)代表は会合で「より強靱(きょうじん)で持続可能な将来」に向けた連携を呼びかけた。日本からは西村康稔経済産業相が参加し、26日に閉幕する。
会合では多角的貿易体制や持続可能な貿易の促進などについて協議。タイ氏は、機能不全に陥っている世界貿易機関(WTO)体制に関する議論を進める考えを述べ、「脆弱(ぜいじゃく)なサプライチェーン(供給網)、格差の拡大、地政学的な緊張といった中で会合が開かれている」と強調。各国が世界的な課題に直面する中、経済発展に向けた貿易政策での協調を求めた。
議長を務める米国は共同声明を発表する意向を示している。ただ、APECはロシアや中国などを含めた21カ国・地域が参加し、ウクライナ侵略を巡る対立や、経済安全保障問題を巡る対中貿易などでメンバー内の摩擦を抱える。
今月15~17日に開催されたAPEC交通相会合ではウクライナ侵略をめぐって共同声明がまとまらず、議長声明を発表する形となった。貿易相会合では、どのような一致を生み出せるかが焦点だ。
西村氏は貿易相会合に合わせオーストラリアやインドネシア、ベトナム、ニュージーランドなどと2国間の閣僚会談を行った。