生成AI、まず大企業にメリット大?社員余剰の懸念も

産経ニュース
iPhoneに表示されたチャットGPTアプリのアイコン(AP=共同)
iPhoneに表示されたチャットGPTアプリのアイコン(AP=共同)

政府は26日、人工知能(AI)の利活用に関するルール作りなどを議論する政府の「AI戦略会議」の会合を開いた。「チャットGPT」など文章や画像を自動で作る生成AIが急速に普及する中、国内企業でどこまで活用が進むのか注目されている。期待されるのは企業の生産性を向上させることだが、とくに業務量の多い大企業で活用のメリットが大きいとの見方が広がる。一方、情報漏洩(ろうえい)や著作権侵害のほか、多くの余剰社員を生み出すのではないかといったことへの懸念も強い。

想定される生成AIの〝仕事〟は「会議資料や報告書を自動作成」「商品のキャッチコピーのアイデア提案」「書類の文章の修正」「複雑な文章の要約」などだ。企業が生成AIを駆使できれば、幅広い業務の効率を改善させられる。

日本総合研究所の若林厚仁・主任研究員は「(生成AIは)使用のハードルが低い」と指摘。導入が急速に進み「企業全体の生産性の底上げが期待できる」とみる。

とくに大企業にとってのメリットが大きいとみるのは、安田女子大現代ビジネス学部の大谷咲太(しょうた)准教授だ。「大企業ほど社内で回覧する文書が多い傾向がある。社内文書の自動生成などによる業務効率改善の効果は、より規模の大きい企業ほどメリットが出やすい」と指摘する。

一方で大谷氏は、生成AIがビジネスの企画などを生み出す可能性がある点は「中小企業にも恩恵がありそうだ」と語る。

デメリットとして想定されるのは、機密情報を打ち込んでしまいほかへ漏れてしまうことなどだ。加えて若林氏は「(生成AIが)企業文化や経営方針に合わない回答を提供」する恐れを指摘。大谷氏は「社員の業務が少なくなることによる余剰人員の発生」の懸念を挙げた。

導入自体に慎重な見方もある。帝国データバンク大阪支社の本田正勝情報部長は「データの信憑(しんぴょう)性や著作権侵害の問題がクリアできていない。活用するにしても最終的に人為的な検証が必要だ」とした。

企業ではすでに生成AI活用の動きが出ている。パナソニックホールディングス傘下のIT事業会社は今年2月、会議資料作成などへの利用を想定し、生成AIを国内の社員向けに導入した。(井上浩平)

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