中国・宋代の百科事典 東福寺の「太平御覧」が全巻修理へ

産経ニュース
石田三成の父の肖像画「絹本著色石田正継像」(京都府教委提供)
石田三成の父の肖像画「絹本著色石田正継像」(京都府教委提供)

京都府教育委員会は、令和5年度の文化財関係国庫補助事業(1次決定分)を発表した。現代の百科事典に当たる「宋版太平御覧(ぎょらん)」(国宝)の補修や石田三成の父、正継(まさつぐ)の肖像画(重要文化財)の解体修理など、新規32件を含む計120件が対象となる。総事業費は33億8900万円。

太平御覧は東福寺(京都市東山区)の所蔵。中国・宋の皇帝、太宗(たいそう)の時代にさまざまな書を集めて編集された類書(百科事典)の一つで、人文科学から自然科学まで多様な分野を網羅する。府教委によると、中国では大部分が失われた。国内では3カ所に残されているが、全103冊がそろっているのは東福寺だけ。中国と往来した僧侶が国内に持ち帰ったと考えられるという。虫食いや紙の劣化が進んでいることから、8年かけて全巻を修理する。

「絹本著色(けんぽんちゃくしょく)石田正継像」は、妙心寺塔頭(たっちゅう)の壽聖(じゅしょう)院(京都市右京区)所蔵で、石田正継が生きている間に描かれた肖像画。土佐光吉を中心とする土佐派系の絵師の制作と考えられ、桃山期の武家肖像画の代表的作品として知られる。各所が折れたり、絵の具がはがれたりしているため、解体した上で修理する。

さらに北村美術館(京都市上京区)の庭園に立つ鎌倉期の石燈籠(重文)も対象となった。成長した周囲の木の根が燈籠を持ち上げて傾きが生じているほか、表面の劣化も進む。このため5年度に周辺の試掘調査を行って状況を把握し、6年度から実施する本格修理の方針を決める。石燈籠には「嘉禎(かてい)3(1237)年」との刻銘もある。(田中幸美)

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