気がつけば49歳。中途半端な年齢だが、どんな未来が待っているのか、気になる。ネットで曽野綾子さんの、こんな言葉を見つけた。「健康に年老いるということは、体の能力が悪くなった後の時間が短くて済むことを意味する」
現在、要介護1の90歳の父と要介護4の80歳の母の介護をしている。父はまだ歩けるが母は70代から介助が必要になり、あっという間に寝たきりである。自分にも家族にもやさしい生き方を考えていたとき、「70歳」が今の気持ちに響いた。
和田さんは高齢者専門の精神科医。昨年はベストセラー『80歳の壁』が話題になったし、そんな先生ならヒントをくれるかもしれない。
まず日本人の健康寿命は男女とも75歳に届いていないという。80代以降も元気で過ごすためには最後の活動期である70代の過ごし方が「カギ」らしい。「高齢者にとっては、脳機能、運動機能を維持するために、『使い続ける』ということが重要」だと和田さんは書いている。
父は定年退職後、80歳過ぎまで趣味で米作りをやっていた。母もパッチワークや人形制作などを趣味で続けていたことを思い出す。
「脳の老化を防ぐのは、生活の中の『変化』」が大切ということも知った。料理も前頭葉の刺激にいいらしく、台所仕事が喜びに変わった。
最近、よい未来が思い描けなくなり、無気力な自分が嫌になっていた。そんなとき出会ったこの一冊。よし、今からポジティブに! そう思わせてくれる。ここには「健康寿命の缶詰」のようなおいしい話が盛りだくさんだ。
それから、人にやさしい生き方は老後を幸せにするという。今から心がけたい。「インプットからアウトプットに行動を変える」ことも効果があるそうだ。こうやってビブリオエッセーをつづることも適度な脳トレになっているかしら。
松山市 赤樫順子(49)
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