奈良県生駒市教委と元興寺文化財研究所(奈良市)は、生駒市北田原町内にある中世の北田原城跡で石積遺構を確認したと発表した。同城跡では初の発掘調査で、出土品から戦国時代の16世紀に築かれた可能性が高いことが判明した。
北田原城は、生駒市北西部の同町南側の丘陵(標高196メートル)の尾根付近に築かれた山城。民間事業者による鉄塔の建て替え工事計画に伴い、市教委の依頼で同研究所が城跡周辺を発掘調査した結果、主郭に通じる斜路とみられる石積遺構の一部(約3・5メートル区間)が確認された。
土器や中世に流通した宋銭なども見つかり、出土品から16世紀半ばには城が存在していたことが分かった。
北田原城については、江戸時代に編纂(へんさん)された「大和志」(1736年)に「坂ノ上丹後守が城主」との記述もあるが、文献は少ない。同研究所の江浦洋技師は「謎に包まれた北田原城の築城年代も絞られ、今後の研究の基礎になる調査」と成果を強調した。
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生駒ふるさとミュージアムでは、今回の発掘調査の速報展を6月4日まで開催している。出土品や調査地のパネルなどを展示。入場無料で月曜休館。
今月27日には、午後2時から生駒市コミュニティセンターで、発掘調査報告会「考古学が解き明かす北田原城跡」も開かれる。講師は江浦技師。参加無料で定員は100人(申し込みは26日まで)。
速報展と報告会の問い合わせは、いずれも同ミュージアム(0743・71・7751)。