昨年のサッカーW杯を制したアルゼンチン代表が、6月に「アジアツアー」で親善試合2試合を行うことが発表されたが、再三ラブコールを送ってきた日本はスルーされてしまった。
アルゼンチン連盟は21日、同国代表の国際Aマッチデー期間の予定を発表。メッシ主将を筆頭にW杯優勝メンバーで編成され、来月15日に北京でオーストラリア代表、19日にジャカルタでインドネシア代表と対戦する。
北京の会場は4月に改修され、最大収容6万人となった工人体育場。お披露目の試合に世界王者アルゼンチンを招き、将来的なW杯の招致をアピールする狙いだ。ところがなぜか、対戦相手は自国代表ではなくオーストラリア。母国の大観衆を前に世界の強豪に腕試しするせっかくの機会に背を向けて、中国代表は16日に別会場でミャンマー代表と親善試合を行うという。「アルゼンチンと対戦すれば、中国の惨敗は目に見えている。国威発揚どころか、メンツに関わる」と関係者。
それでいて、今回のツアーからアジア最強の日本は外された。日本サッカー協会も手をこまねいていたわけではない。国内で行う6月の国際親善試合「キリンチャレンジカップ」に招聘するべく、昨年6月のブラジル代表戦で提示した史上最高額に並ぶ3億円を用意。しかし、アルゼンチン連盟側の要求額は「6億円以上。とても交渉できる金額ではなかった」(日本協会関係者)。
世界第2位の経済大国となった中国や、発展著しいインドネシアが提示したギャラが類推できるというもの。サッカーは進歩しても経済が停滞する日本は、マッチメークでアジアのライバルにも太刀打ちできなくなってきた。(久保武司)