岸田文雄首相は24日の衆院予算委員会で、21日に閉幕した先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)について、「当初の狙い通りの成果が達成できた」と意義を強調した。主なやり取りは次の通り。
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首相「国際社会が歴史的な転換期にある中で開催された先進7カ国首脳会議では、G7の揺るぎない結束を改めて確認することができた。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持していくとの強いメッセージを示すこと。いわゆる『グローバルサウス』(南半球を中心とする新興・途上国)と呼ばれる国々との関与を深めること。これらについて、当初の狙い通りの成果が達成できた。
食料、エネルギー問題を含む世界経済はもちろん、気候変動や開発、国際保健、AI(人工知能)など幅広いグローバルな課題についても議論を深め、今後の対応の方向性について確認した。
各国首脳に被爆の実相に触れていただき、世界の隅々に向けて発信していただくことについても大きな成果が得られた。核軍縮に関して、史上初めて独立文書化した『核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン』の発出を経て、引き続き現実的で実践的な取り組みを継続、強化する。
ロシアのウクライナ侵略に関しては、(ウクライナの)ゼレンスキー大統領にも議論に参加いただき、G7とウクライナの揺るぎない連帯を示すとともに、G7として厳しい対露制裁と、強力なウクライナ支援を継続していくこと。ウクライナに平和をもたらすため、あらゆる努力を行うことを確認した。
世界の平和と安定に関する議論を行い、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持すること。力による一方的な現状変更は認めないということなどの点で認識の一致が得られたことは、大きな歴史的意義を持つものであると考えている」
自民党・鈴木馨祐氏「サミットで広島ビジョンを発出したが、核軍縮をどう進めるか」
首相「核軍縮に向けて、再び機運を反転させていくことが重要だ。広島ビジョンをステップ台として、昨年8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で明らかにした『ヒロシマ・アクション・プラン』の中身を一つ一つ実行することが、現実的な取り組みだ」
立憲民主党・泉健太氏「少子化対策の予算を確保するため、社会保険料を引き上げるか」
首相「国民の実質的な負担を最大限抑制するために、まずは歳出改革の取り組みを徹底する。まさに『こども未来戦略会議』で議論しているところであり、結論を言うわけにはいかないが、6月の『骨太の方針』までに示せるよう議論をまとめたい」
日本維新の会・馬場伸幸氏「憲法改正議論を進める意気込みは」
首相「(令和3年9月の)自民党総裁選を通じて、任期中に憲法改正を実現したいということを申し上げてきた。憲法改正は先送りできない課題であり、こうした考え方はいささかも変わりない。改正発議に向けて、与野党の枠を超えて積極的に議論が進むことを期待したい」