警視庁が1~4月までに認知した特殊詐欺事件について、親族らをかたり現金をだまし取る「オレオレ詐欺」が件数と被害額のいずれも最多となっていることが分かった。オレオレ詐欺では1件当たりの被害額が高額になる傾向があり、警視庁は詐欺グループが自宅にある「タンス預金」を狙って犯行に及んでいるとみて注意を呼び掛けている。(宮野佳幸)
警視庁犯罪抑止対策本部によると、1~4月にかけて、特殊詐欺の認知件数は計953件で、前年同期比108件増。被害総額は約21億6200万円で、前年同期に比べ約4億6200万円増えた。
類型別では、オレオレ詐欺が263件(27・6%)で最多。次いで預貯金詐欺226件(23・7%)▽還付金詐欺161件(16・9%)-などが続いた。被害額でもオレオレ詐欺は約9億円で全体の約4割を占めたという。
犯抑本部によると、令和4年のオレオレ詐欺による1件当たりの平均被害額は約346万円と他の詐欺に比べて高額になる傾向がある。オレオレ詐欺の被害額のうち、約6割がタンス預金だった。
オレオレ詐欺では現金を受け取る「受け子」が被害者宅を訪問する必要があるなど、実行役は摘発されるリスクは高い。実行役は犯行グループにとって「使い捨ての道具」(警視庁幹部)で、SNS(交流サイト)の闇バイトなどで集められているとみられる。
警視庁は、そうした闇バイトへの応募を減らす「#BAN(バン)闇バイト」を展開。警視庁の公式ユーチューブで注意喚起する動画を公開するなど若者を中心に啓発に力を入れている。
一方、NTT東日本は今月1日から、かかってきた電話番号を表示するサービス「ナンバー・ディスプレイ」と番号非通知の着信を拒否するサービス「ナンバー・リクエスト」を、70歳以上の契約者と70歳以上と同居する契約者を対象に無償化する取り組みを始めた。詐欺被害防止には知らない番号からの電話に出ないことが有効で、警視庁も活用を勧めている。