東京都小平市は22日、市議会全員協議会で、平成30年度以降、5件の条例や計画の制定時に、市自治基本条例で規定される市民意見公募手続き(パブリックコメント)の実施に不備があったとする調査結果を報告した。市ホームページを経由したパブコメが把握ができておらず、意見に対し、適切な対応ができていなかった。小林洋子市長は「重く受け止めている」と述べ、陳謝した。
今回の把握漏れは、今年3月、パブコメを寄せた市民から、意見の反映状況の問い合わせがあり発覚。内部調査を進めていた。
報告書によると市は平成30年度から令和4年度までのパブコメ(29計画・条例など)の実施状況を調査。このうち、市文化スポーツ推進計画▽国史跡鈴木遺跡保存活用計画▽第4次市子ども読書活動推進計画▽市環境美化の推進に関する条例▽市中高層建築物の建造に係る紛争の予防と調整に関する条例-の3計画、2条例で把握漏れが確認された。
市ホームページ上からパブコメが提出された場合、現状のシステムでは担当課への通知は行われない。このため、担当者がシステム上で提出状況を確認する必要があるが、怠っていた。一連の手続きは、マニュアルなどで周知していたが、徹底されていなかった。
平成29年度以前のパブコメ(54計画・条例など)についても調査したが、システム上でデータが残っておらず、把握漏れの有無は確認できなかった。
市自治基本条例では、計画や条例の制定、改廃について市は市民に「参加をする機会を保障する」と規定。条例前文で「自治の基本理念と進め方を明らかにする規範」とうたっており、この日の全協では市側から今回の把握漏れについて「重大かつ危機的」との認識が示された。
市では庁内での事務手続きの再徹底や、ホームページの改修など計10項目を挙げ、再発防止に努めるとしている。