野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表として活躍したラーズ・ヌートバー選手(カージナルス)が、日本企業にCMキャラクターとして相次ぎ起用されている。WBCでは1次リーグを通じて全試合に出場。走攻守で全力プレーを貫き、出塁した際の「ペッパー・グラインダー」のパフォーマンスでもファンを魅了した。WBCが終了してから2カ月近くが経過した今もなお、国内企業で引っ張りだこの25歳の魅力は、一体どこにあるのか。
森永製菓のCMは「若年層からも支持」
森永製菓は今年4月、同社の栄養調整食品「inバープロテイン」シリーズのCMキャラクターにヌートバーを起用。CMではコミカルな姿を披露した。同社は起用した理由に「熱いプレースタイルと、周りを元気に明るくさせてくれる人柄」などを挙げた。
また、メガネブランド「Zoff(ゾフ)」を展開している「インターメスティック」も、CMにヌートバーを起用。母の久美子さんも登場しており、親子共演を果たした。同社は「多くの人に愛される『全力投球』『前向き』『友情』『家族愛』『笑顔』というパーソナリティが、チームだけでなく日本中に勇気を与えてくれた」と指摘する。
「守備でもファインプレーを連発するなど、(ヌートバーは)WBCの初戦から存在感を発揮した。(企業の)ブランドのイメージが伝わるという意味では、献身的な部分は大きな要素になる」。こう指摘するのは、CM好感度調査などを行っている「CM総合研究所」(東京)代表の関根心太郎さんだ。
同研究所が実施しているCM好感度調査では、男女1500人のグループ2組それぞれに毎月1回ずつアンケートを実施。消費者が好感を持った要因や、CM銘柄の購買意向などを分析している。
5月前期(4月20日~5月4日)の調査によると、この期間中に放映されたCM2930作品のうち、ヌートバーを起用した森永製菓のCMは46位だった。関根さんは「プロ野球選手を起用したCMの場合、プロ野球に関心の高い40~50代の男性がコアになるが、森永製菓のCMは若年層からも支持を得ている。大成功といえるのでは」と指摘する。
ZoffのCMは5月後期(5~19日)が調査対象のため、結果は後日発表されるが、親子で共演したことについて関根さんは「お母さんのもとで育ってきたという『ストーリー性』が(CMから)見える。それをCMの中でリンクさせているのは、好感度が上がるポイント」だという。
代理人「あと2、3本の出演が控えている」
日本企業から人気を集めるヌートバーに、米国も関心を示している。米大リーグの公式サイトは「日本では『ヌートバーブランド』が強い」との見出しで特集記事を掲載した。
記事では「(ヌートバーの)代理人のもとには、爽やかな顔立ちと笑顔のヌートバーに対し、さまざまな日本製グッズのプロモーションを依頼するオファーが殺到している」と指摘。「ヌートバーの来日が予定されている今冬には、講演やサイン会などの機会が何十件もやってくるだろう」とオファーが殺到している現状を報じた。
また、記事では「あと2、3本のCMが控えているが、殺到させたくなかったので、その多くを延期せざるを得なかった」とする代理人の談話も紹介した。
関根さんは「アスリートのCMは、成績いかんで好感度は左右されやすい。シーズンを通して結果を残すことが重要」と話している。(浅野英介)