ダンスカンパニー「コンドルズ」の最新作「POP LIFE」が27、28の両日、埼玉会館(さいたま市浦和区)で上演される。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことを受け、トレードマークの学ラン姿によるダンスが、舞台上で弾けることになりそうだ。
「コロナ禍で制限されていたことが劇場でできるようになるのはすごく大きい。気持ちが晴れる」
コンドルズ主宰で、構成・振り付け・演出を担当し、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督も務める近藤良平さん(54)は、〝コロナ明け〟の公演について破顔一笑でこう話した。
出演者が客席に行って発声しないこと、最前列などに客を入れず舞台からの距離を取ることといった制限がなくなることによる、自由度の回復は大きい。
出演するコンドルズの黒須育海さん(35)もコロナ禍においては稽古も含め、「できるだけ会わないように作品を創っていた」と述懐し、自由度の回復を「舞台にいざ立ったら実感するかも。客席との距離もグッと縮まる瞬間が来る」と心待ちにする。
今回の公演タイトルは、プリンスのヒット曲から名付けられた。コロナ禍で奪われた人と人とのリアルな関わりについて、つながる喜びや鮮やかな日常を取り戻そう、軽やかに未来へ飛び出そうという思いが込められた作品だ。
「ハジケているものはハジケている、気持ちいい色合いは気持ちいい、というような感覚的なものに合わせ、振りを付けるにもああでもないこうでもないといろいろできる」と近藤さんはリアルで躊躇(ちゅうちょ)なく行える舞台の創り方を堪能しているようだ。そのたびに、近藤さんの脳裏に浮かぶ言葉が「いいんじゃない?」というもの。「いいんじゃない? と思えること自体がポップにつながる」と考えながら稽古を進めている。
黒須さんは「ポップと思えることは年代や性別でも捉え方が違うはず。それぞれにお客さんが楽しめるのでは」と指摘する。コンドルズのトレードマークである学ラン姿さえもポップさを表す一つのアイテムだ。
今年は改修中の「彩の国さいたま芸術劇場」(同市中央区)に代わり、埼玉会館で開催され、これまでのような舞台装置が使えないが、「今年ならではの貴重な舞台になる」と黒須さんは熱を込める。
「いつもより熱く、軽いコンドルズ」に自信満々の近藤さん。コロナ明けのポップな舞台のベールがはがれるまであと少しだ。(兼松康)
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27日午後3時、28日午後2時開演の全2公演。チケットは一般前売りS席5千円、A席3500円ほか。問い合わせはSAFチケットセンター(0570・064・939)。