防衛省は16日、日中の防衛当局幹部間を直結するホットラインの運用を開始し、浜田靖一防衛相が中国の李尚福(り・しょうふく)国務委員兼国防相と初の通話を行ったと発表した。日本側からは東シナ海情勢をめぐる日中間の安全保障上の懸念について伝えた。今後、定期的な通話などは現時点で予定していない。
通話は16日午後4時半から約20分間行われた。日中双方はホットラインの運用開始を歓迎するとともに、相互の信頼醸成や不測の事態回避などの重要な役割を担うことを確認した。
その上で浜田氏が日中間における安保上の懸念について言及し、「懸念があるからこそ率直な意思疎通を図ることが必要」との趣旨の考えを伝えた。双方は今後も意思疎通を継続していくことで一致したという。
日中両国は2018(平成30)年、自衛隊と中国軍の偶発的衝突の回避を目的とする相互通報体制「海空連絡メカニズム」の運用を開始。柱となるホットラインは技術面での調整に時間を要したために遅れ、今年3月31日の開設となった。