摂取カロリーの約30~50%が超加工食品 食事の質を下げる傾向も 東大調査

(Getty Images)※画像はイメージです
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複数の食材を工業的に配合して製造される「超加工食品」が、成人のエネルギー(カロリー)摂取量の約3~5割を占めているとする論文を、東京大学大学院医学系研究科栄養疫学・行動栄養学講座の篠崎奈々特任研究員らの研究チームが発表した。超加工食品を多く食べる人ほど食事の質が低いことも判明した。都道府県ごとではなく広い範囲の地域を対象とした研究は初だという。

ソーセージ、菓子パン、アルコール飲料、清涼飲料水などの超加工食品は脂質やナトリウム(塩分)を多く含み、たんぱく質などの重要な栄養素が少ないため、食べ過ぎ・飲み過ぎが食事の質を下げると報告されている。健康上のリスクになりうることも一般的に知られているが、研究チームによると日本では超加工食品に関する栄養学研究はほとんどなく、食事の質との関連は十分に明らかになっていなかったという。一方、年間1人あたりの超加工食品の小売売上高で日本は80カ国中10位であり、消費量は少なくないと予測されていた。

そこで研究チームは米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者が開発した枠組みをもとに、食品の加工レベルを卵や果物などの「未加工/最小限の加工」、卵白や濃縮還元でない無糖の果物ジュースなどの「基本的な加工」、加糖の果物ジュースや加糖ヨーグルトなどの「中程度の加工」、アルコール飲料や菓子パンなどの「高度な加工(超加工食品)」の4段階に分類。2013年2~3月に、国内の20地域に住む20~69歳の388人から取得した4日間の食事データを分析して、超加工食品の推定摂取量や食事の質との関連を調べた。

食事の質は米国人向けの指標「Healthy Eating Index-2015(HEI-2015)」と欧米で広く用いられる指標「Nutrient-Rich Food Index 9.3(NRF9.3)」を用いて評価した。また、レストランで提供された食事やスーパーマーケットで購入した惣菜といった家庭外で調理された料理については、一品の料理と見なして加工レベルを決める「料理レベル」と、食材ごとに細かく分ける「食品レベル」の2パターンで数値を出した。

日本人成人388人における、超加工食品からの総エネルギー摂取量に対する各食品群の寄与割合。(a) 料理レベルの分類では、家庭外で調理された料理(外食や惣菜など)は食材まで分解せずに料理そのものを加工レベル別に分類した。(b) 食品レベルの分類では、料理を食材に分解して分類した(提供  東京大学大学院医学系研究科 栄養疫学・行動栄養学講座・篠崎奈々特任研究員)

1日の総カロリー摂取量に対して超加工食品が占める割合を調べたところ、料理レベルで分類した場合は48.3%、食品レベルで分類した場合は32.9%だった。超加工食品のうち、分類方法にかかわらず最も割合が大きかった食品群は「穀類およびでんぷん質の食品(パンや麺など)」であり、料理レベルで27.8%、食品レベルで23.1%を占めた。

食事の質については、1日の総カロリー摂取量に対する超加工食品の割合で参加者を3つのグループに分けて、100点満点のHEI-2015と900点満点のNRF9.3でスコアを比較した。

家庭外で調理された料理を料理レベルで分類した場合、超加工食品の割合が大きい人はHEI-2015が約49点、NRF9.3が約570点で、超加工食品の割合が小さい人はそれぞれ約52点、約660点だった。食品レベルで分類した場合もほとんど同じスコアであり、研究チームは「超加工食品からカロリーを多くとっている集団ほど食事の質が低い」と結論を出している。

超加工食品のエネルギー寄与割合によって研究参加者を3群に分けたときの、各群の食事の質のスコア。各群の括弧内の数値は超加工食品からのエネルギー寄与割合の中央値を示す(提供  東京大学大学院医学系研究科 栄養疫学・行動栄養学講座・篠崎奈々特任研究員)

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