「タイ式民主主義」拒否した若年層 総選挙で革新派躍進

産経ニュース
バンコクの前進党本部で記者会見するピタ党首=15日(ゲッティ=共同)
バンコクの前進党本部で記者会見するピタ党首=15日(ゲッティ=共同)

【シンガポール=森浩】タイ総選挙は、事前の予想を覆し、革新派「前進党」が第1党に躍進した。軍の影響力排除や不敬罪改正などの主張が、若年層を動かした。軍が介入し、国王が追認してきた「タイ式民主主義」への拒否反応が顕在化したとも言える。ミャンマーのクーデターなどアジアで民主主義の後退がクローズアップされる中、選挙で示された民意でタイ政治がどこまで変わるのか。連立協議の行方が注目される。

「すべての関係者は選挙結果に逆らうことはできない」。前進党のピタ党首は15日、軍や守旧派の反発を念頭に民意の尊重を求めた。不敬罪についても「国会で包括的で透明な議論を確保する」と述べ、改めて改正に意欲を示した。

タイでは立憲君主制に移行した1932年以来、政局混乱や改革派躍進のたびに計19回のクーデターがあり、軍が政治に介入してきた。プラユット首相自身、2014年のクーデターを指揮した元陸軍司令官だ。

プラユット政権は改革の芽を摘む動きを強めた上、反軍政を掲げて19年総選挙で躍進した新未来党について軍の影響が強い憲法裁判所が解党を命じた。反発する若年層が20年に大規模な抗議デモを展開し、既得権益層である軍や王室への批判拡大につながった。前進党は新未来党の後継政党であり、改革を求めた市民の声が台頭の素地となった。

親軍勢力の後退と革新派の伸長で、外交政策の変化も注目される。プラユット政権は同じくクーデターで実権を握ったミャンマー国軍に融和的な姿勢で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の足並みの乱れにつながっていた。プラユット氏が首相を退けば「タイの対ミャンマー外交は変わる可能性がある」(シンガポール政策研究機関)との分析がある。

ただ、今後の連立協議が停滞すれば、親軍政党が日和見的な議員を取り込む形で「ピタ首相」誕生阻止を狙う可能性がある。陸軍司令官は選挙前に否定しているが、「20回目のクーデター」の懸念もぬぐえない。民意が国政にすんなり反映されるか見通せない状況が続きそうだ。

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