新電力の顧客情報を不正に閲覧したとして国から業務改善命令を受けた関西電力は12日、再発防止や法令順守体制の強化を柱とする業務改善計画を西村康稔経済産業相に提出した。あわせて、これまで慎重だった発電事業と販売事業の分離(発販分離)も含めた検討を進めることも明らかにした。不祥事が止まらず、徹底した改革の検討に追い込まれた形だ。
入手した情報を営業活動に使うなど悪質性が指摘されており、関電は改善計画で、これまで送配電子会社と一体だった情報システムを約5年かけて分離すると表明した。また、コンプライアンス(法令順守)推進の最高責任者としてCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を新設することも盛り込んだ。
一方、関電の森望社長は提出にあたり、「ルール違反と決別し、再構築した体制のもと、事業運営に取り組む。発販分離も含めた、最適な事業体制の検討を引き続き進める」とした。
多くの電力大手は発電と販売の両部門が同じ会社内にあるため、自社の販売部門を優遇し、新電力との販売競争で不公平さを生んでいるのではと指摘されてきた。このため発電と販売を分社化すべきなどとの声が政府からも出ていた。
このほか関電は不正閲覧の責任を取る形で、森社長の月額報酬50%を3カ月減額するなど役員の報酬減額など計16人の処分を決定。子会社の関西電力送配電も、土井義宏社長の月額報酬50%を3カ月減額するなど役員ら8人を報酬減額といった処分とした。
一方、2月下旬から実施していた営業活動の全面自粛は12日に終え、13日から再開する。法令順守の徹底などに一定の道筋が付いたと判断した。
国は電力自由化の一環として大手電力の送配電部門を分社化させ、新電力の顧客情報を大手電力側と共有することを禁止。公正な競争を促す狙いだったが、大手電力7グループが、システムを不正利用するなどして情報を閲覧していた。関電、九州電力、それぞれの送配電子会社など計5社が国から電気事業法に基づく業務改善命令を受け、12日に改善計画を提出した。