昭和38年5月に日本海で行方不明になった寺越昭二さん=当時(36)=の息子3人は11日、昭二さんらが漁をしていたとされる石川県志賀町で、真相究明と政府による拉致認定を求める声明を発表した。3人は「私たちにも拉致被害者にも残された時間はない」と訴えた。
声明を出したのは長男の昭男さん(73)、次男の北野政男さん(72)、三男の内田美津夫さん(69)の3人。昭二さんは北朝鮮の船に救助された数年後に現地で死亡したとする北朝鮮側の説明は「作り話だ」と主張している。
昭二さんら3人が行方不明になった「寺越事件」をめぐっては「1960年代半ばに日本海で漁船員らの拉致を試み、1人を現場で射殺したと聞いた」とする北朝鮮の元工作員の証言があり、昭男さんは「拉致だけでなく殺人も行われたのか、そこを一番知りたい」と話す。内田さんは「私たちの代で活動は終わりにしたい。この先の何年かが勝負だ」と語った。
昭二さんとともに行方不明になった親族の寺越武志さん(73)は現在も北朝鮮で生活している。武志さんは日本の家族に「北朝鮮に救助された」と説明している。