壊れやすい遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」を安定した状態で、純度99%以上で製造する技術を開発したと、名古屋大や東京医科歯科大などのチームが11日付の英科学誌に発表した。mRNAは新型コロナウイルスワクチンに利用されている。従来法と比べ工程が少なく、コストも抑えられるという。
チームは「コロナだけでなく、他の感染症やがんを標的としたワクチンへの応用が期待できる」としている。
ファイザー社やモデルナ社などのmRNAを使ったコロナワクチンの製造法では、副生成物を分離できず純度は50~70%にとどまる。そこでチームは、光で除去できる物質を利用して安定したmRNAのみ精製できる手法を開発した。
このmRNAは壊れにくく脂質の膜に包む必要がないため、できたワクチンは常温で保存できるという。また副反応の要因の一つともされる副生成物がほとんどないため、ワクチンの副反応を減らせる可能性がある。