米大リーグ通算83勝の右腕に、横浜スタジアム最多3万3202人の観衆がくぎ付けになった。DeNAの新外国人バウアーが、初登板となった広島戦で初勝利。7回を7安打1失点、最速155キロの直球で毎回の9奪三振と実力通りの投球を披露し、「きょうで、自分が何ができるかを見せられたかな」と不敵に笑った。
0-0の二回2死、レッズ時代の同僚デビッドソンに速球を左翼席へ運ばれ失点。さすがの修正力を見せたのはここからだ。変化球主体の投球にがらりと変え、広島打線を翻弄。4―1の七回には連打を浴び2死二、三塁とされたが、代打松山を沈む変化球で空振り三振に仕留めてホームを踏ませない。サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)投手の本領が詰まった力投に、三浦監督は「ピッチングがうまい。最高のマウンドだった」と絶賛した。
暴行疑惑による出場停止処分を受け、大リーグでの登板は2021年6月が最後だった。ただ、空白の間も野球への熱が冷めることはなかった。自身が所有する練習拠点で腕を振り続け、新球種習得にも取り組んだ。約2年ぶりのマウンドにも「感触はすごく良かった。体の状態、コントロール、球の強さ、すべてが良かった」と自負した。
14年前、日米大学野球選手権で米国代表としてプレーし、日本の野球愛に感銘を受けたという。あの日と変わらぬ大歓声を浴び、「今までの試合の中で一番特別だった」。DeNA25年ぶりのリーグ制覇へ、頼もしい戦力が加わった。(川峯千尋)