「かしましめし」テレビ東京 月曜午後11時6分
悩みを抱えたアラサー3人が、同級生の葬儀で再会したことをきっかけに、「おうちごはん」を楽しむように。やがて一緒に暮らし始めるが-。数々のグルメドラマを送り出してきたテレビ東京が、おかざき真里原作の人気漫画をドラマ化。主役の千春(前田敦子)の同級生でゲイのサラリーマン、雨海英治役を演じる。「台本を読んだとき、心が温まって胸に刺さる言葉がたくさんありました。この作品に参加できてすごく光栄です」と語る。
英治は関西弁の陽気なキャラクターに見えるが、広告代理店のデザイナーとして働いていたものの営業に異動になり、やりたいことを見失ってしまう。恋人との関係にも悩んでいる。
「とにかく涙もろくて、感受性が豊か。すごく心が優しい一方で、周りにむける顔と自分の本心がちょっと違う二面性があったりして、とても人間らしい」。英治が漏らした「演じ続けなあかんねん、人生は楽しいって」というせりふからは、明るい言動に隠された繊細さが垣間見える。
上司のパワハラで退職し、料理をすることで心が救われた千春、婚約解消したナカムラ(成海璃子)と囲む食卓は、「全部をさらけ出しているわけでもないけれど、少し心の休まる場所」だという。
3人をつなぐのが千春の家での食事の時間だ。「串揚げ」「手巻きずし」など手軽で、みんなが楽しめるメニューが登場する。第1話の「包まない餃子」では、好みの具材を焼いていく。だれかと一緒に食べる楽しさが伝わってくる。「(撮影で)箸が止まらないことは結構あって。3人とも『おいしい、おいしい』って言いながら食べています」
自身も料理をするという。「健康に気を使っているので自炊しています。ドラマにも出てきた豆腐ハンバーグは、しょっちゅう作ります。チャンプルーとか炒めものが多いかな」
おいしい食事と何げないおしゃべりは、人生の苦い時間をやり過ごし、一歩踏み出す勇気を与えてくれる。「ごはんを食べるときには噓がない。素直な感情で食べている気がします。何かぽろっと(本音を)言いたくなっちゃうんでしょうね。同じものを食べて近い距離感で話をできるのは、やっぱり大事なこと」
明日も頑張ろうと思える、月曜の夜にぴったりの作品だ。(油原聡子)
<しおの・あきひさ>平成7年生まれ。東京都出身。23年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで審査員特別賞、AOKI賞。翌年芸能界デビュー。25年に「獣電戦隊キョウリュウジャー」にレギュラー出演。舞台「里見八犬伝」、映画「HiGH&LOW THE WORST」など出演作多数。