近ごろ都に流行るもの

「冷凍グルメ」イメージ一新 名店料理に親孝行需要 家庭保存も注目

産経ニュース
豪華な名店料理のパッケージが食欲をそそる冷凍食品売り場。百貨店ならではの丁寧な接客も魅力だ=東京都中央区の松屋銀座(重松明子撮影)
豪華な名店料理のパッケージが食欲をそそる冷凍食品売り場。百貨店ならではの丁寧な接客も魅力だ=東京都中央区の松屋銀座(重松明子撮影)

便利でエコ、そしてグルメ! 冷凍食品のイメージが一新。東京・銀座デパ地下の売り場では地元名店の看板料理が冷凍で並び、新たなギフト需要も生まれている。冷凍食品の国内消費は昨年1兆2065億円で過去最高を記録。量にすると国民1人あたり年間23・9キロも食べている計算だ(日本冷凍食品協会調べ)。3年前の新型コロナウイルス禍発生によるステイホームを契機に、冷凍食品の利便性や味の進化への評価が飛躍的に高まった。フードロス対策としても共感され、ホームフリージングの習慣が広がっている。

ホームフリージングで時間、栄養、お金が貯まる!?

明治20年創業「銀座みかわや」舌平目かに肉包揚げ(3456円)。大正13年創業「銀座吉澤」松阪牛シルクハンバーグ(1383円)。昭和23年創業「銀座日東コーナー」ロールキャベツ(1998円)…。老舗の看板メニュー「銀ぶらグルメ」が冷凍で並ぶのは、松屋銀座地下2階の「銀座フローズングルメ」売り場だ。「(外食が難しくなった)おばあちゃんに食べさせたい」といった声も聞かれる。

「購入層は40~60代が中心。介護中であったり、離れて暮らす親を気にかけていらっしゃる方も少なくない。銀座の味をどこにでもお届けできますので、自家需要だけでなく贈り物に利用される方も多い」

売り場担当の高取未奈さん(24)が冷凍食品の〝親孝行需要〟を語った。

石原裕次郎主演の日活映画「銀座の恋の物語」(昭和37年公開)のロケ地にもなった伝説の百貨店だけに、冷凍グルメで若き日を思い出し元気をもらう高齢者もいるだろう。持ち歩きはドライアイスを入れても1時間半が限界のため、翌日配送(中国地方を除く本州・四国地方。990円~)を推奨している。

うどんや餃子というB級グルメ的な冷凍食品のイメージを一新し、売り場を新設したのは昨年8月末。半年間の売り上げ目標5千万円を達成し、銀座に続く浅草名店シリーズを開発中だ。「冷解凍しても店同様のクオリティーが保てるよう、各店が最適な方法を研究している」と広報課。

取扱商品は55ブランド350種類。和・洋・中・エスニック料理に加えてパンやスイーツもそろえている。

食品保存バッグ最大手「ジップロック」販売元、旭化成ホームプロダクツは、冷凍保存技術をウェブ動画で教える「冷凍貯金のがっこう」を4月に開校した。「生活の中で時間と心のゆとりをうむ」ことが目的。開校イベントでは女優の福原遥が登壇し、多忙な朝ドラ(NHK「舞いあがれ!」)撮影時に冷凍保存食品が活躍したと話した。

講師は「冷凍王子の冷凍大全」(サンマーク出版)などの著書で知られる西川剛史さん(40)らだ。

冷凍貯金には、空いた時間に食材や料理をストックすることで「時間が貯(た)まる」「栄養が貯まる」、特売時の大量購入と食品ロス削減が両立でき「お金が貯まる」という、3つのメリットを伝えている。

「生鮮品はすぐに使わなければという制約があるが、冷凍で賞味期限が伸ばせ、個々のライフスタイルに応じて無駄なく計画的に食事の準備ができる」と西川さん。味付けや栄養バランス、素材へのこだわりなど自分仕様が自在なのもホームフリージングの利点だ。冷凍庫内の乾燥は「まずくなる」原因だが、適切な保存で風味の劣化も防げる。「食材にラップをぴったり張り付け、さらに空気を抜いた冷凍バッグで保存すること。コロナ禍で流行した『下味冷凍』は調味液に肉や魚を漬けて保存することで密閉できる、非常に理にかなった方法です」

おにぎりも薄く四角く成型することで収納効率が上がり、解凍時のムラを防げるという。そして肝心なのが、どんな食材や料理も新鮮、作り立てのうちに冷凍するべし。腐りそうだから…では手遅れだ。ホームフリージングは合理的計画性が必須の知的作業。子供の「食の自立」から、大人の脳トレにも有効だろう。うまく習慣化させたい。(重松明子)

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