アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの治療を早くしっかり開始するほど、食物アレルギーになるリスクを減らせる可能性がある―。こんな研究成果が出てきている。国立成育医療研究センターの山本貴和子医師は「アトピーと他の皮膚炎は見分けにくい。気になる湿疹は放置せず、子供のアレルギーをきちんと診てくれる病院で受診を」と話す。
食物アレルギーの多くは成長するにつれて治る。有病率は乳児の5~10%、全年齢で1~2%と推計される。またアトピー性皮膚炎の乳児は、卵アレルギーを合併しやすい。
令和2年、山本医師らの研究チームは乳児の湿疹の発症から治療開始までの期間が短いほど、2歳で食物アレルギーを持つ割合が減る傾向があったと報告。
さらに治療法による違いも調査。生後7~13週の赤ちゃんの患部だけに薬を塗る方法だと、生後28週時点で42%が卵アレルギーを発症したのに対し、患部も含めて全身に広く薬を塗るような積極的な治療法では31%とより少なかった。