ロシアのウクライナ侵略が泥沼化し、プーチン大統領の権威も凋落(ちょうらく)の一途をたどっている。各国の大使に「無視」された映像が流れ、暗殺におびえる様子を暴露する証言も出てきた。軍の動員に対する反発も強く、来年の大統領選出馬を前に国内では「プーチン外し」の動きもあるという。
各国大使「無視」動画
首都モスクワのクレムリン(大統領府)で5日に開かれた各国大使の信任状奉呈式の動画が物議をかもした。プーチン氏が「ご清聴ありがとうございました」と締めたが、各国の大使から拍手などの反応が出なかった。本人が苦笑気味に何度もおじぎしながら、動揺する様子が映し出された。露独立系メディア「メドゥーザ」は「気まずい間」と揶揄(やゆ)した。
一方、英シンクタンク「ドシエセンター」は大統領の元警護官だったゲレブ・カラクーロフ氏のインタビューを報じた。同氏によると、プーチン氏はコロナ感染におびえ、周辺の職員は「15~20分程度のイベント前でも2週間前に厳格な検疫を守る必要がある」という。
外遊の際には「諜報機関に傍受されたり、解読されたりすることを恐れずに話せる」という高さ約2・5メートルの電話ボックスが運び込まれる。また、サンクトペテルブルク、ソチ、ノヴォ・オガリョヴォなどの私邸に作られた執務室のデザインは全て同じで、公式発表とは別の場所にいたこともあったという。いずれも「命を狙われるのを防ぐ」ためだと証言した。