今季から米大リーグ(MLB)のメッツでプレーする千賀滉大投手(30)が、チームで存在感を増している。2試合目の登板となった8日(日本時間9日)のマーリンズ戦で6回1失点と好投し、開幕から2連勝と幸先のいいスタートを切った。決め球となる落差の大きいフォークボールは、千賀の代名詞といえる球種で、昨年まで在籍したプロ野球のソフトバンクでは「お化けフォーク」と恐れられた。辛口な批評で知られるニューヨークのメディアも「ghost fork(ゴーストフォーク)」と称して注目。早くも強烈なインパクトを与えている。
MLB公式サイトは「珠玉の投球」と称賛
メッツの本拠地シティ・フィールド(ニューヨーク市)で初登板となった8日のマーリンズ戦。4万人を超えるファンが見守る中、千賀が堂々としたマウンドさばきを披露した。
序盤から150キロ台後半の直球と、切れのあるフォークボールを駆使。大リーグ初登板となった2日のマーリンズ戦に続く好投で、開幕から2連勝を飾った。エースのバーランダーが右肩の故障で戦列を離れる中、チームにとって欠かせぬ存在であることをマウンドで証明してみせた。
MLBの公式サイトは「4万2306人の観客がゴーストフォークを見ようと詰めかける中、千賀はまたもや珠玉の投球を披露した」と称賛。地元紙「ニューヨーク・ポスト」(電子版)も「ニューヨークは初めて千賀を抱きしめ、彼もまたニューヨークを抱きしめ返した」と、地元ファンの熱狂的な声援に応えた千賀の投球をたたえた。
「ゴースト」はグラブのデザインに由来
マーリンズ戦では、球場内でユニークな光景が見られた。千賀が打者から三振を奪うたびに、電光掲示板には食器のフォークを持った幽霊のキャラクターが映し出された。
ニューヨーク・ポスト紙は「千賀はスコアボードにゴーストフォークのアニメーションを表示させている」とした上で「次回(の登板)はもっと『ゴースト』を出せるようにしたい」とする千賀の談話を紹介した。
このキャラクターは、千賀が使用しているグラブのデザインに由来している。2日の初登板の際、スポーツ専門局のESPN(電子版)は「千賀がゴーストのグラブを着用し、MLBデビュー戦で輝きを放つ」との見出しで特集記事を掲載。「ゴーストフォークにちなんで、幽霊と(食器の)フォークをイメージしたグラブを着用した」と報じた。
MLBで「お化けフォーク」から「ゴーストフォーク」へと〝衣替え〟した千賀。MLBでも、生命線であるフォークボールの切れ味と精度を磨いていくことが求められている。(浅野英介)