カンボジアを拠点とした特殊詐欺グループとみられる日本人の20~50代の男19人が現地当局に確保され、警視庁が詐欺容疑で逮捕状を取得したことが明らかになった。近年、特殊詐欺グループが東南アジアや中国といった海外に拠点を置くケースが目立つ。日本の警察当局の捜査権が及ばないことから「摘発逃れ」とみられるほか、時差が小さく、携帯電話購入時の審査が緩いことも背景にあるとされる。
警察庁によると、警察当局が国内で摘発した特殊詐欺の拠点は平成30年は61カ所だったが、令和4年は20カ所まで減少した。日本国内の取り締まりが厳しくなり、賃貸マンションやオフィスを借りた大がかりな拠点を設けなくなったことが要因とみられている。
近年グループは役割ごとに実行役らを分散。ホテルを転々としたり、車で移動したりしながら詐欺電話をかけているという。捜査関係者は「海外に拠点を移すのも、その一環だ」と分析する。2017年に中国当局が福建省で詐欺電話の「かけ子」とみられる35人を拘束。19年にはタイ中部でも現地当局が、かけ子とされる男らを摘発した。
また、全国で相次ぐ広域強盗事件で「ルフィ」などと名乗る指示役とみられる渡辺優樹被告(38)ら4人はフィリピンを拠点とする特殊詐欺グループを率いていた。渡辺被告はタイに滞在した記録があり、摘発逃れに海外で拠点を移しながら詐欺を続けていた可能性もある。捜査関係者は「拠点を発見すれば、海外であっても現地の治安当局と連携して捜査していく」と話している。