旧優生保護法(昭和23年~平成8年)下で不妊手術を強制されたとして、兵庫県の60~90代の男女5人(うち2人死去)が国に損害賠償を求めた訴訟で、国は5日、国に計4950万円の支払いを命じた大阪高裁判決を不服として最高裁に上告した。
原告の鈴木由美さん(67)は同日、大阪市内の記者会見に出席。「亡くなった原告も多く、早く終わらせたかった。上告は残念でならないが元気な間は闘い続ける」と述べた。
訴訟の主な争点は、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する旧民法の「除斥期間」の適用可否。3月23日の大阪高裁判決は、国が自ら旧法を違憲と認めるか、最高裁で違憲判決が確定してから6カ月が経過するまでは適用されないという初めての判断を示した。
一連の訴訟で国への賠償命令は、高裁では大阪(別の原告)、東京、札幌に続く4件目で、いずれも国が上告している。