息子ほど年の離れた部下を持ったとき、アナタならどんな接し方で気持ちよく働いてもらいますか? 距離感の詰め方は? ジェネレーションギャップは気にしますか? 阪神・大竹耕太郎投手(27)の言葉に、記者が部下ならそう感じるよなあ…と思わされた。
「基本的には直接コミュニケーションを取ることが少ないというか、僕もあいさつ交わす程度しか会話がないので。思っていることを選手側に言ってもらえる機会は、こういう時だからこそできる。選手側からしても(いろいろと)言ってもらいたい」
3月27日、甲子園に隣接する室内練習場で珍しい光景を見た。岡田監督が投手指名練習を視察したが、なんと先発投手陣にバントを直接指導した。この前日26日にバントを失敗した才木の構えを『一番下手くそや』―。ただ厳しい指摘のようでも、その場では笑い声も起こり〝カミナリオヤジ〟が一喝!という雰囲気ではなかった。
15年ぶりに阪神監督に復帰した指揮官は12球団最年長の65歳。大竹は27歳。才木は24歳。年齢は離れていても、その差がすべてではない。大竹は「自分からもピッチングがどう思われているかすごく気になるので、そういうのもコミュニケーションを取らせてもらえたらなと。シーズンに入ってからも、そういうことができたらなと思っています」と話した。
大竹は済々黌高(熊本)から早大を経て2018年育成ドラフト4位でソフトバンク入団。昨年オフの現役ドラフトで阪神に移籍したばかり。プロ6年目とはいえ手探りの新天地で、何気なく選手とコミュニケーションをとる〝新しい上司〟の姿に風通しの良さを感じたのだろう。
それは大竹だけではない。青柳が24日のオープン戦でクイック投法の際にコントロールを乱すことを指摘された翌日、岡田監督とチーム練習中に約20分ほど話し込んだ。虎のエースは「自分の技術不足。それでストライクが入るならなんの問題もないですし、っていう話をしっかりできた」と振り返っていた。
記者は阪神担当の年数と同じくらい、厳しい番付社会の相撲も担当した。今年の岡田阪神を追いかけていると、上司と部下の関係性の新たな可能性に、着眼点を持ちたいと思った。(新里公章)